8月11日、当会は「2019年映画上映会と被爆者の講演のつどい」を富山市・タワー111スカイホールで開催し、85人が参加しました。これには県被爆者協議会、被爆二世・三世の会、県保険医協会が後援しています。司会を花崎広子世話人が務め、冒頭に金井英子世話人代表が主催者を代表して挨拶しました。(画像は花崎世話人)

私の被爆体験と核兵器のない世界を求めて
木戸 季市さん(日本原水爆被害者団体協議会 事務局長)

広島慰霊の旅を終えて
小島 貴雄さん(富山県被爆者協議会 会長、被爆2世・3世の会 会長)

主催者挨拶:金井英子世話人代表

 この会は今年で結成30 年、世話人代表は佐々學先生、片山喬先生と著名な方々のあとに私。私は肩書がありません。あるのは、 暁第16710部隊に所属し、爆心地から2キロで被爆した父をもつ被爆二世という悲しいレッテルです。
 2年前、 県被爆者協議会が二世中心の活動に移行しました。私は、それを機に悲しみではなく平和のために心と体を使いなさいという使命を、天からいただいたと思っております。
 この会の歴史を振り返ると、2005年から映画の上映と被爆者の体験を聞く会を続けてきましたが、 被爆者の方が亡くなられたり、会話が不自由になられたりで次第に難しくなってまいりました。それでも、今年も開催できたのは皆さんのお力添えの賜物と感謝しております。
 平和式典で広島・長崎両市長が核兵器禁止条約の批准を政府に強く求めましたが、安倍首相は一言もふれませんでした。富山ではこの秋に県議会に働きかけることを県内の非核4団体で計画していますので、 ぜひご賛同下さいますようお願いいたします。
 また、忘れてならないのはフクシマです。放射線の影響はないと国は繰り返していますが、小児の甲状腺がん多発を多くの小児科医師が科学的に証明し、汚染地域での周産期死亡が増加していることが統計的に明らかになっています。二度と健康破壊、 生活破壊、 環境破壊を起こさないよう、 すべての原発の再稼働に反対し速やかな廃炉を求めていきたいと思 います。


 その後、 映画『夕凪の街 桜の国』の上映と長崎で被爆した木戸季市氏、 県被爆者協議会会長の小島貴雄氏の講演がありました。
 最後に小熊清史世話人副代表が閉会のあいさつを述べました。

映画『夕凪の街 桜の国』あらすじと参加者の感想から

 「夕凪の街」は昭和33年の広島が舞台で、被爆した皆実(麻生久美子)がその13年後に原爆症で亡くなる。「桜の国」は現代の東京。皆実の姪の七波(田中麗奈)が父の旭(堺正章)を追って広島へ行く、というつながりのある物語である。
【夕凪の街】
 昭和33年、広島。被爆した平野皆実は母(藤村志保)と二人で暮らしながら建設会社で働いている。父と妹は原爆によってすでに他界。旭という弟は5歳のときに水戸に疎開し、そのまま伯母夫婦の養子になった。
 会社には内越(吉沢悠)という青年がいて、皆実とお互い惹かれあっているが、皆実は自分が被爆者であるため、恋に積極的になれずにいた。新大橋のたもとで求愛されるが、同じ橋の下で無数の死体が浮かんでいた原爆投下直後の光景が蘇る。あの日、助けを求める負傷者を見捨て、死体を平気で跨いだり下駄を泥棒して歩いた自分が幸せになるわけにはいかないと自分を責める皆実に内越は言う。
「生きとってくれて、ありがとうな」
 そんな皆実の体を放射能が蝕んでいく。夏休みに弟の旭が持ってきた土産ののし梅も、もう皆実の喉を通らない。皆実は父が買ってくれたかんざしを母に託し、この世を去る。
「なんで広島だったんだろう。なんで広島にピカが落ちたんだろう」
「落ちたんじゃない。落とされたのよ」
皆実のセリフがせつない。 
【桜の国】
 平成19年、東京。七波の父、旭は最近行動がおかしい。気になった七波は尾行してみることに。駅前で偶然会った幼馴染の東子(中越典子)とともに、父が乗り
込んだ夜行バスで広島に向かうことになる。
 今年は皆実の50回忌。父はかつて姉の皆実と交流があった人たちを訪ね歩いているのだった。
 七波の父、旭は水戸の高校を卒業後広島の大学に進学し、そのときに知り合った被爆女性と結婚した。その母も40歳を前にして他界し、また祖母もすでに亡くなっていた。自分は被爆2世であることを実感する七波。そして東子は七波の弟、凪生との交際を被爆2世であることを理由に両親から反対されていたのだった。東京に戻り、七波は尾行していたことが父にばれていたと知る。
 そんな七波に父は「おまえは皆実姉さんに少し似ている。だからおまえが幸せにならんとな」とやさしく話しかけるのだった。

参加者された方々の感想から
●とても心に残るシーンが多かった。私たちはこのような出来事を念頭に、生きていることの大切さを感じながら人生を送っていかなければならないと思った。すばらしい映画だと思う。
●一瞬で命を絶たれた人たちの悲惨さと同時に、被爆者の方々は今でも苦しみが続いていることを思い知らされた。核のない世界を、すべての人の幸せを願うばかりです。
●映画では被爆者の複雑な心情が表現されており感動しました。講演では被爆の悲惨さを強く感じ、今後も伝えていってほしいと思います。
●2世、3世のことは今まであまり考えたことがなかった。そんな原爆を作り続けている人間の浅はかさ、人類はどうなるのだろうか? せめてこのような企画に参加し、子どもたちに教えねばならない。
●時を超え、世代を超える原爆被害の非人間性の深刻さを改めて認識させられました。
●この映画は初めてです。心が痛みました。二度とこのような戦争を起こしてはいけません。若い世代にもっと本当の戦争の真実を伝える大切さを感じます。
●映画よかったです。被爆者の思いがかなり抑えられた表現ですが心にしみました。もっと多くの人に見てもらいたいです。
●私は現在70歳です。長崎市立山里中学校を卒業しました。被爆したわけではありませんが、あの頃被爆の話は周囲の方たちからよく聞かされました。今、この被爆ということを知っている人がとても少ないことに恐ろしさを感じています。