(1998.12.16)臨界前核実験の強行に抗議し、核兵器廃絶の具体化を(ロシア大統領)

ロシア連邦共和国大統領 ボリス・N・エリツィン殿

臨界前核実験の強行に強く抗議し、全ての核兵器実験と核兵器開発計画をただちに中止し、核兵器廃絶を緊急に具体化することを要求する

 貴国政府が12月8日に、核兵器廃絶を願う諸国民、世論がこぞって反対する臨界前核実験を、ノバヤゼムリャ島で強行したことについて強く抗議する。

 われわれ、唯一の被爆国日本の医師・歯科医師は、人類の生命と健康を守る立場から、すべての核実験の中止とすべての核兵器開発計画の撤回、核兵器廃絶を、核保有国と全世界の国々に訴えてきた。

 12月4日には、第53回国連総会で、33カ国が共同提案した核兵器の廃絶を核保有国に求める決議が、圧倒的多数の国の賛成で採決された。貴国がこのような決議に反対したことや、核兵器の性能維持・強化を理由に、CTBT(核実験全面禁止条約)に調印したあとも、臨界前核実験はCTBTに違反しないという立場で実質的な核実験を繰り返していることは、世界の平和を求める人々への挑戦である。

 また、インド、パキスタンの核実験でNPT(核不拡散条約)の破綻が明らかになっているにもかかわらず、インド、パキスタンを非難しつつ核兵器の独占を続けようとすることは、国際正義と公正に反するものである。

 われわれ核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会は、あらゆる国のあらゆる形態の核実験の中止と、核兵器開発の即時中止を要求するとともに、期限をきった核兵器廃絶の国際的な協議を開始し、貴国政府が速やかに核兵器廃絶の方向に進むことを被爆国の医師の団体として断固として要求する。  以上

1998年12月16日
核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会
代表世話人  佐々 学