(2002.2.27)イラク政府はただちに国連査察への全面協力を(イラク大統領)

フセイン・イラク大統領 殿

イラク国民の命を奪う権利は誰にも与えられていない ただちに国連査察への全面協力を

 今、貴国の大量破壊兵器の廃棄をめぐって世界が揺れている。アメリカ、イギリス、スペインは24日、貴国に対する武力行使容認の新決議案を安保理に提出した。3月7日のブリクス国連監視検証査察委員長の査察結果報告で、よほどの内容が示されない限り最悪の事態が必至であることを、貴国は認識しなければならない。

 いっぽうで世界をかけめぐった戦争反対のデモは、1,000万人という史上最大の規模となった。その多くはアメリカ、イギリスによる国連安保理決議なしの先制攻撃に対する反対の意思表示であって、貴国の査察非協力を免罪するものではない。もし先制攻撃や核兵器が使用されるならば、「国家間の紛争は国連という舞台で解決する」という、人類の築き上げた平和への叡智を粉々にしてしまうことを最も危惧しているのである。

 今、残されたわずかな時間の中で、進行中の査察に全面的に協力することが戦争を防止する最も有効な手段である。たしかに貴国以外に国連決議違反を犯し、すでに大量破壊兵器を保持し、査察にも応じていない国が存在している。貴国の決断が好戦的な国々にたいして国連の権威を高めることになり、このダブルスタンダードをなくしていくことになる。

 結果の明らかな抗戦は無意味である。何の罪もない国民の夢と希望と命さえも奪う権利は、たとえ大統領にも与えられていない。人間の命と健康を守ることを使命とするわれわれは、貴国にたいし国連査察への全面協力をただちに行なうことを要請するものである。

2003年2月27日
核兵器廃絶をめざす富山医師医学者の会世話人会
世話人代表 片山 喬
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