(2003.5.15)先制攻撃に道を開く有事法案の衆院通過に抗議する
声明
先制攻撃に道を開く有事法案の衆院通過に抗議する
与党三党と民主党が修正協議で合意した、というニュースが流れたわずか2日後の5月15日、十分な審議がないまま有事法案が衆議院を通過しました。多くの国民が懸念している、あいまいな「有事」の定義、国民の基本的人権の保護を先送りしたままの採決に、私たちは抗議します。
法案の「武力攻撃事態」という定義では、武力攻撃の『おそれと予測』も対象となり、日本が実際に攻撃を受けていない場合であっても、政府の「判断」で先制攻撃を可能にするものです。また、自衛隊法では条文となっている「国連法規の遵守」の文言も外されました。
現在、日本を攻撃する意図や可能性のある国家はない、というのが世界の常識です。あるとすれば、アメリカの先制攻撃の出撃基地が日本に存在するが所以の反撃です。アメリカ議会は新型で使える小型核の開発にゴーサインを出し、1年半後には実戦配備を終え、再選をめざすブッシュ大統領はアジアでの核の先制使用を有力な選択肢と表明しています。
北朝鮮が、イラク戦争を誤った教訓として瀬戸際外交をさらに強めている現在、私たちはこの恐ろしいシナリオが現実味を帯びてきていることに戦慄を覚えます。
日本は今、アメリカの力の政策に自国の運命を委ねて自主外交を放棄するのか、それとも平和憲法を持つ国として国連中心の世界秩序の回復に積極的な役割を果たすのかが問われています。
私たちは、今回提出されている有事法案は専守防衛ではなく、逆に日本とアジア諸国を危険にさらすものであり、今国会での衆院通過に強く抗議し、参院での廃案を求めるものです。
2003年5月15日
核兵器廃絶をめざす富山医師医学者の会世話人会
世話人代表 片山 喬