講演要旨「フランス核実験再開と核不拡散条約をめぐって」(和田雄二郎氏)

核不拡散条約は「悪魔の権力独占」の論理
 「世界の至る所で抗議の声が高まる中で、本来ならばもっとも先鋭的に明確な態度がとれるはずの被爆国日本であるはず。しかし政府の対応は中途半端で弱い。 その理由は、日米安保によって日本はアメリカの核の傘にあり、『核抑止論』を肯定する立場にある。すなわち核兵器の存在を認めるが 故に核実験への抗議が本物にならない。」
 「核不拡散条約(NPT) は、5大国による『悪魔の権力の独占』の論理。地球全体の核兵器を削減することより、新たな核保有国を生まないことを優先したものだ。その証拠に、『核実験の最大限の縮小』が約束されたにもかかわらず、直後に中国が核実験を行い、フランスが再開すると発表した。事実上核兵器開発を促進するものとなった。」
 「ヒロシマ・ナガサキの原爆投下について、アメリカでは米国人百万人の生命を救ったという論理が今でも大勢を占める。核戦略をすすめる上で、原爆投下の悲惨さや開発・実験での被爆実態を覆い隠し、情報操作が行なわれていた。」
 「富山も原爆とまったく縁がなかったわけではない。 肉眼による投下だったため、模擬爆弾が各地で発見されているが、富山市岩瀬地区で『パンプキン』と呼ばれる形式のものが落とされている。」

富山大空襲は、全国の平均を大きく上回る被害
 また、講師は富山大空襲の内容と特徴にもふれ、富山は全国的に見てもまさに『大空襲』と呼ぶにふさわしい、すさまじいものであったと述べた。
 「全国平均の人口千人あたり死者8.7人に対し、13.5人、負傷者13.3人に対し、47人。焼夷率99.5%は全国一。総投下弾量は1,465米トン(東京大空襲でも1,665米トン)」
 「被害が大きかった原因の一つとして、午後10時に新潟県長岡市を標的とした130機の編隊が通過したのち空襲警報が解除され、その2時間後173機ものB29が飛来、寝込みを襲われたことになった。」