(2003.2.25)貴国にとって真の国益は国際的信頼をかちとること(アメリカ大統領)

ブッシュ・アメリカ合衆国大統領 殿

世論は戦争でなく、国連による解決を望んでいる 貴国にとって真の国益は国際的信頼をかちとること

 2月15日に世界をかけめぐったイラク戦争反対のデモは、1,000万人という史上最大の規模となった。とりわけロンドン、マドリード、バルセロナ、ローマなど貴国の武力行使支持を表明している国において際だっている。また貴国内においても国連安保理決議なしの先制攻撃に対して懸念する声が日増しに大きくなっている。

 湾岸戦争以後、イラクは他国を侵略していない。テロ組織やアルカイダとの関係を示す確たる証拠も出ていない。大量破壊兵器も確かな証拠はない。徐々にではあるが査察への協力姿勢を示している。いっぽうで、イラクより国連決議違反が多く、すでに大量破壊兵器である核を持ち、査察にも応じていない国が存在している。このダブルスタンダードを放置したままのイラク攻撃は、将来にわたっても世界の支持は得られないであろう。

 もし国連憲章に反する先制攻撃を行なうならば、さらには戦術核兵器を使用するならば貴国は世界から孤立し、国家間の紛争は国連という舞台で解決するという人類の築き上げた平和への叡智を粉々にしてしまうことになる。すでに威嚇はイラクにたいし充分に効果を発揮した。薬は効きすぎると毒であり、攻撃すれば必ず反撃される。もっとも恐れるべきは、戦争とテロの限りなき連鎖が貴国内のみでなく地球のあらゆるところで始まることである。

 人間の命と健康を守ることを使命とするわれわれは、貴国にたいし戦争によらない解決を、勇気をもって選択するよう要請するものである。

 

2003年2月25日
核兵器廃絶をめざす富山医師医学者の会世話人会
世話人代表 片山 喬
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