(2003.4.22)アメリカの「使える」小型核兵器開発に反対する
声明
アメリカの「使える」小型核兵器開発に反対する
イラク戦争の行方が混沌としているなか、ブッシュ米大統領は今後使用可能な小型核兵器の研究・開発の解禁と予算計上を議会に要請しました。イラク戦争で使用した特殊貫通弾への搭載を視野に入れ、「フセインを殺せなかったのは爆弾に威力がなかったからだ」と言わんばかりのやり方に私たちは戦慄を覚えます。
アメリカでは国防権限法にある「ファース・スプラット条項」により、広島型の3分の1以下の威力の核兵器の研究・開発・製造は一切禁止されています。これは、核兵器が容易に使用されることを防ぐために、クリントン政権発足直後の1993年に民主党のスプラット下院議員が提案し、現在まで共和党の批判を受けながらも、使える核兵器開発を抑制してきた、アメリカの良心とも言うべきものです。
しかし2002年初頭に出されたブッシュ政権の「核戦略見直し」では、イラク、北朝鮮、中国、ロシア、イラン、リビア、シリア の7カ国を名指しで核攻撃の対象としていることと、ピンポイント攻撃可能な核兵器開発が盛り込まれました。
国連憲章を無視して先制攻撃を行ない、罪もないイラク市民の犠牲を「誤爆」で済ませ、アメリカに批判的なメディアも標的にしたブッシュ大統領は、今や世界共通の脅威となりつつあります。熱病に憑かれた指導者は、このままでは核兵器を使用することに何のためらいもないでしょう。
私たちは、世界の平和を願う世論によって米国議会が小型核禁止条項を守り、ブッシュ政権の暴走にブレーキをかけることを心から願わずにいられません。
2003年4月22日
核兵器廃絶をめざす富山医師医学者の会世話人会
世話人代表 片山 喬