(2018. 2. 5)米国の核戦力増強の方針転換に抗議し日本政府に核廃絶の働きかけを求める

米国の核戦力増強の方針転換に抗議し日本政府に核廃絶の働きかけを求める

 2月2日、米トランプ政権は8年ぶりとなる核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」を発表しました。新指針では、アジアや中東で核の脅威が強まっていることから、現実的な使用を見据えた小型核兵器の開発・配備を進め、通常兵器に対する報復にも核の使用を辞さないとしています。国連条約やICANをはじめ国際社会が目指す核廃絶の動きに真っ向から対立する米政権の暴挙はけっして許されません。
 そもそも核配備を進めることで、相手国を萎縮させて抑止力を高めるという論法は破綻しています。これは北朝鮮がイラク・フセイン政権の「反省」から、米国に対抗できるよう核配備を進めてきた現状からも明らかです。さらにテロリズムの世界的な蔓延によって、核兵器の流出や誤射などの脅威が強まることも懸念されます。米国が取るべき方針は、率先して核軍縮を進めることで、世界の核軍縮の流れをリードすることです。
 一方、今回の方針転換を評価するとした日本政府に対しても失望が広がっています。唯一の戦争被爆国である日本には、アメリカと歩調を合わせるのではなく、被爆国として核兵器全面禁止を提唱し、核を持つ国々に対し核軍縮を働きかける役割が求められます。
 核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会は、あらゆる国の、いかなる形態における核実験をも全面的に禁止し、核兵器を緊急に廃絶することを求めてきました。私たちは人々の健康と生命を守る医師・歯科医師の立場から、米政権に対しただちに今回の指針を廃止し、「核なき世界」を目指したオバマ前政権の方針を継続するよう強く求めます。

2018年2月5日
核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会 世話人会
世話人代表 金井 英子