(2009. 5.29)原爆症認定集団訴訟の全面解決と被爆者全員救済を求める要請書

原爆症認定集団訴訟の全面解決と被爆者全員救済を求める要請書

 昨日、東京高裁は原爆症認定申請を却下した処分の取り消しを求める集団訴訟で、原告側勝訴の判決を言い渡しました。これで2003年4月から始まった原爆症認定集団訴訟は、今回で事実上国の18連敗となっています。

 これらの判決の特徴は、これまでの原爆症認定基準では、原爆被害の実態を説明することができない、被爆の実態に沿った認定をしなければならないという立場から、申請審査は機械的であってはならないとし、今回の東京高裁判決でも「有痛性瘢痕」を高裁レベルで初めて認定、肝機能や甲状腺障害も放射線起因症と認めました。さらに、新基準では残留放射線や内部被ばくを過小評価する危険があること鋭く指摘しています。

 原爆症は、原爆被害から60年過ぎても人間を苦しめる残酷な被害であり、集団訴訟が始まって6年、被爆者の高齢化がすすみ、被爆者原告306人のうち、すでに61人が亡くなられています。もう被爆者には時間がありません。

 ことごとく敗訴してきた国としては、司法からの妥協を許さない断罪を真摯に受け止め、認定基準の緩和と被爆が原因でないことを国が証明できない限り、一律に原爆症として救済する道を開くべきです。

河村建夫官房長官は昨年11月19日、「原告全員の救済による訴訟の早期解決」について、「東京高等裁判判決(5月28日)がタイムリミット」と述べ、集団訴訟を一括解決したい旨を表明しました。

今日、オバマ大統領が「核兵器のない世界をめざすうえで、アメリカは核兵器を使った唯一の核保有国としての道義的責任がある」と述べ、フランス政府が核実験により被ばくした人々に国家賠償を行う方針に転換し、北朝鮮の地下核実験を批判する声も世界的に高まっています。こうした中で、唯一の被爆国である日本の政府に対し、自国の戦争被害者でもある被爆者救済を真剣に行えるのかどうかに、国際的な関心が集まっています。

 つきましては、以下の点を要請します。

1、原爆症認定集団訴訟に対する国の控訴を取り下げ、一括解決をはかること。
2、被爆者援護行政と原爆症認定制度を抜本的に見直すこと。
3、緊急課題として国連と核保有国をはじめ、すべての国の政府に対し、核兵器全面禁止・廃絶の国際協定の実現にむけ、日本政府としてイニシアチブを発揮すること。
4、上記達成のために、政府の政治決断をはかること。

2009年5月29日
核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会世話人会
連絡先:富山県富山市桜橋通り6-13 フコクビル11F
電話 076-442-8000
世話人代表 金井 英子