(2017. 6.16)市民を監視し、民主社会を萎縮させる「共謀罪」の採決強行に抗議する

声明

市民を監視し、民主社会を萎縮させる「共謀罪」の採決強行に抗議する

 「共謀罪」の趣旨を含んだ組織的犯罪処罰法改正案(以下、共謀罪)が、参院委員会採決を省略し、6月15日の参議院本会議で強引に可決・成立されたことに当会として強く抗議の意を表明するものです。

 この共謀罪は、「話し合っただけ」「合意しただけ」でも処罰することができ、「犯罪は実行行為であり、内心は処罰しない」という近代刑法の根本原則に反するものです。国会で、まじめな市民団体の活動も捜査の対象となり得るのではないかとの質問に、監視や捜査の対象となりたくなければ、政府に対し従順で反対意見を言わない市民になりなさい、と言わんばかりの答弁には憤りを禁じえません。

 権力による濫用が懸念される共謀罪が、まさに権力の濫用によって成立したという動かしがたい事実がその本質を表しているのではないでしょうか。モノ言えぬ国民総監視社会をつくる、現代版の治安維持法であり、憲法が保障する「思想・信条の自由」「表現の自由」「通信の秘密保護」「信教の自由」を侵害する違憲性は明らかです。

 われわれはこの共謀罪の廃止を求めると同時に、引き続き核兵器の廃絶に向けた取り組みや原子力行政の危険性について萎縮せず発信していくことを誓うものです。

2017年6月16日
核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会 世話人会
世話人代表 金井 英子