(2022.12.26)安保3文書改定を破棄し憲法9条に立脚した平和外交の推進を

声明

専守防衛を放棄する安保3文書改定を破棄し憲法9条に立脚した平和外交の推進を求める

 岸田内閣は12月16日、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を明記した新たな安全保障関連3文書を閣議決定しました。これは日本政府が憲法9条に基づき戦後掲げてきた専守防衛を放棄するものであり、断じて許せません。国民の命と健康を守るわれわれ医師・歯科医師は、国会審議もせず行われたこの閣議決定の破棄を求めます。

 閣議決定された「防衛力整備計画」では、5年後の防衛費を現在の1.5倍の9兆円、GDP比で2%にまで増強するとしています。その財源として法人税などの引上げや震災復興税の転用を充てるとしており、これは長引く不況と物価高にあえぐ国民の生活を守るどころか、さらなる窮地に追い込む悪政と言わざるを得ません。政府の審議会はさらに、コロナ補助金廃止やワクチン接種の国庫補助見直し、国立病院の積立金早期返納など社会保障費の削減までをも防衛費の財源に挙げており、国民の命と健康をないがしろにする政府の姿勢に対し、われわれは強く反対するものです。

 そもそも軍備増強が安全保障に繋がるのでしょうか。国際政治に詳しい大学教授や先の戦争を経験した与党の重鎮は、軍備増強によって互いの国が不安を募らせ、際限ない軍拡の道を歩むことになると批判しています。いたずらに警戒心を煽るのではなく、国家間の信頼関係構築に向けて外交で努力することこそ安全保障の真髄であり、政治に求められる使命ではないでしょうか。

 日本は悲惨な戦争体験を経て、戦争放棄こそが安全保障の要であると確信し、平和憲法の下にこれまで専守防衛を貫いてきました。日本政府には、今後とも憲法9条を堅持して、その精神を世界に広めていくことを通じて、日本と世界の平和を築く役割を果たすことを求めます。

2022年12月26日
核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会 世話人会
世話人代表 金井 英子